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全盲で難聴、トラベルボランティアとともに参加した遍路ツアー

遍路ツアー(2006年7月)

MさんとOさんの素晴らしい体験談が届きました。

Mさんの体験談

『三盆糖』

2006年4月、私はふうじゃにとりつかれました。全盲で難聴、そして味覚と嗅覚を失いました。隣のホームドクターに点滴をしてもらったり、ガイドヘルパーさんに昼食をつき合ってもらったりしました。でも、2週間が過ぎても一向に回復に向かう兆しがなく、途方にくれていました。そのような時、点字毎日新聞に、視覚障害者の4泊5日の遍路ツアー募集の記事が掲載されました。
『四国八十八ヶ所めぐり』は、多くの本を読みあさり、夢にまで見てあこがれていました。宗教のことは、難しくてよくわかりません。金額は少し高そうですが、俄然、私もお参りしてみようと決心しました。でも、独りでは心もとない。そうだわ、JTVNのOさんにお願いしてみようと思いました。600km以上も離れていても、電話があります。Oさんは、CHRISTIANです。それでも、二つ返事で介助を引き受けて下さいました。

 お遍路は、普通の旅行と違って、荷物は出発時に自分が持てる範囲です。初日は、幸いお天気に恵まれて、荷物は、身幅より大きい黒のリュックサックとショルダーバッグ、それにウエストポーチの3個になんとかまとめ、JRの地元の駅員さんに電車に乗せてもらいました。ところがです。大げさなようですが、自分がどの方向に向いて座っているのか、全くわからなくなりました。日頃から、これが私の危険信号なのです。落ち着いていれば、ローカル電車は各駅にとまり、ドガが開き、社内アナウンスで判断できるはずです。なのに、私は疲れて、早くもパニックになってしまったのです。Oさんが待っていて下さる岡山駅の5番ホームに、列車は不安そうな私を乗せたまま、滑り込んで行きました。Oさんは、車内まで入ってきて、もたもたしてい
る私をこともなげに連れて下車して下さいました。その時、私は初めて90度方向を間違って困っていたのだとわかりました。恥ずかしいやら、情けないやらでいたたまれない気持ちでしたが、これが私本来の姿だからいたしかたありません。
 やっとツアーに合流して、まず巡礼の作法を覚えました。お寺の山門で一礼をして、身を清める手洗い(抹茶の作法で、指先を綺麗に使って柄杓で四つのしぐさがあります。)、次は危ないからずっとさせてもらえなかったことで、蝋燭を点火してもらって蝋燭立てに立てます。続いて線香3本(1本目は本尊様に、2本目は先祖様に、3本目は生かされているすべての者)を香炉に立ててゆきます。今度は、周囲と足元に細心の注意を注ぎながら、住所氏名と納め月を書いた納め札とお賽銭を差し上げて行きます。そして、十数人が一通り終わると読経です。私は八十八ヶ所のお経は、宗派
をこえて般若心経だけと思っていましたが、あにはからんや、天台宗の法華経本一六の下にあるかいきょうげ・懺悔門・三機三強・光明真言・柄肛門など60数年、無き父を中心に聞き慣れたお経を唱えるではありませんか! また、帰りに山門でもう一度おじぎをします。境内には、本殿と別に、必ずそれぞれ仏様を奉ってありますので、この度、十七ヶ所をお参りしましたから、Oさんは合計34回、これらをいちいち手を携えてさせて下さいました。
 五番・地蔵寺でのことです。このバスツアーについて回って下さった先立ちさんが、実に快い響きの黒炭の木槌を持っていて、興味津々な私は、ついに見せて頂きました。そして、三日目、十番・切幡寺でのこと(耳をそばだてて、水琴穴を聞いたところでもあり、忘れられません)、梅雨前線停滞で、私は点字の般若心経2冊(1冊は自分で写経、後の1冊はクラブツーリズムからプレゼント)ともバスの中に忘れて手を合わせている時、突然私に木槌をうたせて下さいました。みんなが浪々と読む「かんじざいぼさつ ぎょうじんはんにゃはらみったじ」にあわせて、無我夢中でうってみました。うまくうてない、良い音が出ない、当たり前のことです。たぶん、みんなが私に色々な視線を向けているだろうに、Oさんは黙って見過ごして下さいました。涙がほとばしるほどうれしいと思いました。
 話は前後しますが、二番・極楽寺は初めての宿房で、Oさんは方向音痴・鈍感プラス斑ぼけの私を介助するのに、それはそれは大変でした。早朝のおつとめで、住職さんの講話の中に、出目昌伸・監督、松平健・主演の映画『バルトの学園』の舞台のロケ地となった、徳島県鳴門市『坂東収容所』のことがありました。すかさず旅行会社は、トラベルボランティアさんへのせめてものサービスで、そこへ立ち寄る提案をしました。
その時、私はバスに残っていました。5日間、Oさんと離れていたのは、後にも先にもそのわずか1時間ほどだけでした。

 2日目、第六番安楽寺も宿房でした。私たち20人足らず含めた90人で夕方のおつとめをした時、何十にも重なる金・太鼓、おそらく木魚も在ったと思います。その調子に合わせて、住職さんの厳かな読経が、私の汚れた魂を揺さぶるように感動しました。そして、講話のあと、みんなで歌った『とうりゃんせ』は、いつまでも余韻を引いています。

 俗に遍路転がしと言われる十一番・藤井寺から、十二番・焼山寺は、昔は山道でしたが、今ではきちんと整備された緩やかな歩道になっていました。一作夜は、泊りがホテルでしたので、マッサージをお願いして疲れをとってもらいました。でも暑いので、Oさんの腕につかまってばかりでは不愉快と思い、小指だけを絡ませたり、ハンカチーフの端と端を持ち合ったり、道路幅が在ったので、時々後ろ向きに歩いたりしながら、衣紋三郎が弘法大師に助けられたというりゅうあんの杉の木の根元で小休止しただけで、4.7kmを1時間50分で制覇しました。ツアーの仲間に遅れることなく、無事について回れたので、私は充実感に満たされました。

 いよいよ、最後のバス内での復習です。100点でなくても、思い出すままに答えられて、褒美に80歳の方が使ったという、縮緬の小さな草履を頂きました。続いて、バリアフリー旅行の感想のマイクがトップで差し出された時、おずおずと下手な横好きで作ったつきなみな川柳…
『すずのねが たよりこころも はればれと』
を皮切りに、感じたことを率直に話、このツアーの記事が読売新聞に掲載され、私の持つパソコンのインターネットでとらえる日を願っていると結んだ時、Oさんは賞賛して下さいました。多少うわずった話し方だったかもしれませんが、Oさんが今日もお別れするところまで、親愛と責任をもって尽くしてくださることが何重にも嬉しくて、私に勇気と自信を持たせてくれたからこそスピーチができたのです。

 あれから20日余り、今日私は徳島県の板野郡上板町、枝の館でOさんと記念にひとつずつ買った、ここにだけしかない『三盆糖』をコーヒーに入れてティータイムを楽しんでいます。自然な甘さで、美味しくありがたく頂いています。そして、目が見えないことはどこまで行っても確かに不自由ですが、決して不幸ではなかったことを喜び、同時に才能以上に生きられたことに感謝し、これらを心の中で膨らませていきた
いと思っています。

 最後になりましたが、Oさんは、この巡礼の旅の介助中に、40数年、全力投球でつき合われた、義理のお姉さんを不治の病で亡くされました。慎んで哀悼の意を表します。

2006年7月21日

トラベルボランティアOさんの体験談

『お遍路』の旅

巡礼の旅、おもむき深い経験をさせていただきました。一人一人、神と対談を交わす様子を目の当たりにして、自分の信仰のあり方を見直しています。いつも一緒の彼女も、緊張の中、笑顔を忘れず、輝きと共に旅を一歩一歩、力強く進まれ、印象的でした。なぜ? どうして? それで? …未経験の者にはさまざまな疑問が生まれるに違いないお遍路。人々の願いの根源は、共通するはずなのに、自分のこと、家族のこと、日本のこと、世界のこと、繰り返される戦い、千年以上前から、今なお色あせることなく続く巡礼。歴史は繰り返されています。
改めてMさんに感謝します。ありがとうございました。


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